そのとき心は何かを 話すだろう

■どくしょ
福永武彦全集第四巻読了。
すごい色々書いたんだけどオペラ(ブラウザ)がフリーズしてぶっ飛んでしまったこの挫折感…川orz

=夢見る少年の昼と夜=
転校を控えた空想がちな少年が昼は学校の先生に書類を貰ったり、
友達に会いに行ったりし、
現実を映しながらその瞳に空想を重ねている。
夜になってこっそり家を抜け出して縁日にいくと、
空想と現実が奇妙に混じりあい…
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転校を控えたこのあわいの感じと、夜になり空想が溶け合っていく感じが
とてもよかった。

同タイトルで松山花子さんの漫画がありますが、内容は関係ないです。

=秋の嘆き=
幼いころに父を亡くし、十年前に兄をなくし、母にも先立たれ
そして今日、早苗は麻野にフラれたらしい。
ハンドバックに麻野の入れた手紙があった。
早苗と結婚を考え、早苗の身辺を調べたところ、
父は精神病院に入院して死亡していたことがわかり、
親に反対され、自分でも早苗との子供に病気が出たらと思うと怖い、という。
兄の自殺、何かを言いよどんでいた母、その謎を解くカギはこれだった…。
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狂人病院ていう名前がもうすごいな…時代とはいえ…
遺伝すると信じられていた精神疾患の重さ。
でもなんとなく、早苗の、
一人になってしまったし、この孤独は変わらないかもしれない、でもそれでも
やっていくしかないじゃないの、という雰囲気があった。

=沼=
こどもは遊んじゃいけない危険な沼のはなし
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これで終わりか~という感じ。
沼と謎のおじさん…

=風景=
サナトリウムで知り合った男には
ささやかな夢があった、好きな女と結婚して家庭を作って――
だが女を殺してしまったんだよ、と言う。
男は多くを語らなかったが、
私はどいういう顛末だったのかを空想した。
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おおむね妄想でしかないのですが…。
サナトリウムですこし話した男はどう過ごしたのだろう、
今どうしているのだろう、と思いながらゆかりの地を行く、という抒情は良いと思った。

=死神の馭者=
ひょんなことから知り合った子供が
「もう一人、弟が、赤ん坊がいたけど死んじゃった
赤ん坊だから殺してもいいってことじゃないよね?」と言っていた。
ある日自動車事故で、子供の弟が死んでしまう。
子供は「運転していたのは父だった」という…
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これはタイトルの響きが最高だと思った。
ひき逃げを「「死神の馭者」って、
この乗り物と死のイメージの融合、そして運転手でなく馭者。いいわぁ。
青年と子供のぎこちない関係も何だか面白かった。
夜中焼き芋買って帰ったら、アパートの前に裸足の子供がいて、
芋を分けてあげようとしたら芋捨てられたっていう、この出会いのエピソード良いと思った。

=幻影=
戦時下、絶望的な恋をした二人は離れ離れで死ぬよりも、と
毒薬を飲もうとするがすんででとどまり、生きて帰れる可能性もあるのだからと
毒薬を分け合った。
男は出征し、南方への輸送船から海に投げ出され、
そこで何が何でも生きようという強い意志を感じた。
女は疎開先で結核になり、終戦後入院する。
毎日手紙を出していたが一向返事が来ない。
もう女に幾ばくも日が残されていまいという頃、
男が病院に現れ…
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逃避としての恋愛の幻想。
生に向かいだし、もはや死の恐怖を麻痺させるための愛は必要ない男。
死に向かいだし、愛だけが慰めとして残された女。
戦争を境として生と死への立場が入れ替わり、
現実と幻想がすれ違っていく対比が綺麗だと思った。

=一時間の航海=
海が時化て船室に閉じ込められている間
乗り合わせた美しい女と自分が親しくなる想像に忙しい青年の話。
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妄想だけで…終わってしまった…
いや、そこから、そこからが聞きたい…。
はじまりもせずに終わった。

=鏡の中の少女=
あたまがぐらぐらしてきて、何が何だかあまり良く判らなかった…。
天才画家の少女が自画像を描いているうちに、鏡の中の自分と入れ替わってしまう?話?

=心の中を流れる河=
牧師夫妻、その妹で夫と別れようとしている梢。
医者の息子、太郎。その幼馴染の女の子…。
それぞれ異なる立場を持ち、迷い、とまどい、
すぐそばに居るようでも、その心と心はなかなか触れ合えずにいる…
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物語の途中のような印象。
どこかに情熱を落としてきてしまったのかな…

=夜の寂しい顔=
「僕」は母子家庭の子供であったが、
母は再婚をし、新しい父親とはうまくなじめない。
何となく居場所のない心地で、正月をおじの家で過ごす少年。
毎晩夢で同じ顔を見る。寂しげな顔。
だがそれは自分の顔であると気が付く。
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夢の中で見る顔は、そのまま孤独な自分なのだろう。
昼の暖かなまぶしい日差しの中では、
くらんで見えなくなったように感じるかもしれないけれど、
ずっとその孤独は僕とともにあるのだろう。
そして、誰にでも。

=見知らぬ町=
彼女はこの町で暮らしているのだ、
僕の知らない男と結婚して…。
街を歩きながら、彼女を思い出す
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何も始まらなかった…

=未来都市=
外国のバー。名前はバー・スーサイド。自殺酒場。
客はみんな死にたがり。
バーテンが条件さえ満たせば毒酒をくれるという。
毒酒をあおろうとして、それから…
気が付けば汽車に乗っていた。
未来都市に行くのだという。
バーテンは悪い奴で、毒酒を飲ませたふりをして、悪事の手下にしてしまうんだとか。
未来都市では悪い心を消滅させる放射線を放っているから、
みんな幸せに暮らしている。
その都市には「哲学者」と呼ばれる人がいて
その人が放射線を発見した人で、この未来都市を計画した人物だった。
私はその「哲学者」の妻と知り合い恋におちてしまい…
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未来都市の設定が面白かった。
福永さんの作品にしては状況が動く感じ。

=愛の試み=
福永さんが本気出して愛について考えたことを色々と
挿話つきで熱く語る
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流石に読むの何回か目なので、
何言ってるのかはわかってきた。
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by G-ran | 2015-01-31 13:22 | 雑記


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